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J・ラサール

J.LASSALLE


ピノ・ムニエの銘醸地として知られるランス地区で、母、娘、孫娘の三代で営む生産者。その品質は大手トップ生産者と肩を並べるといわれています。

J・ラサールの歴史〜女性が受けつぐ伝統のシャンパーニュ〜


このRM(レコルタン・マニュピュラン:自社畑を持ちブドウ栽培からシャンパーニュ醸造までを行う小規模生産者)は、1942年に始まりました。場所はモンターニュ・ド・ランス地区にあるシニー・レ・ローズ村に位置します。

創設者であったジュール・ラサールは伝統的でエレガントなシャンパーニュを造ることで知られていましたが、1982年に亡くなり、その後を妻であるオルガとその娘シャンタルが引き継ぎました。

シャンタルは20歳のころから父ジュールのもとでシャンパーニュ造りを手伝い、すべて独学で習得してきたという頼もしい作り手でもあります。シャンタルの娘アンジェリーヌは、もともとイヴ・サンローランの広報としてキャリアを重ねていましたが、2006年母の仕事を手伝うために戻ってきたといいます。

そのことでシャンパーニュ・メゾンとしては珍しい、女性中心の運営体制が三代に渡って継承されることとなりました。そうした女性ならではの視点や感覚を活かして、シャンパーニュは柔らかで女性らしい仕上がりとなっています。

彼女たちは創設者亡き後の、心ない噂もものともせず、メゾンを守るために必死で取り組みました。その結果、ワイン評論家ロバート・パーカーの5つ星という高い評価を得るまでに品質を高め、また、『ワイン・スペクテーター』誌においても、"Cuvee Preference Brut"が、かの"クリュッグ"と同様に最高得点の93点を獲得するなど、その評判は確実なものになっています。

品質の良さと、手の届く価格設定からファンも多く、このメゾンのシャンパーニュを求める人は後を絶ちません。

J・ラサールのシャンパーニュ造り


畑があるのは優れたピノ・ムニエを生み出すランス地区。多くの大手生産者がブドウを買い付けに来る場所でもあります。その恵まれた土地にある自社畑は16ha。全体で45の区画を所有しています。栽培品種はピノ・ムニエが48%、シャルドネが30%、ピノ・ノワールが22%となっています。

J.ラサールのモットーとしてあるのは、自社畑を醸造所から10km以内に持つこと、醸造のあらゆる工程は伝統的な方法を用いること、ブドウやワインを丁寧にリスペクトして扱うこと、すべてのシャンパーニュは最低5年熟成させて、メゾンの理想とするレベルに見合うものにすること、ということです。

自社畑から採れるブドウは生産量よりも品質を重要視します。収穫は開花からおよそ100日後の9月に行われます。その年の気候にもよりますが、ブドウの熟成度やテロワール、ブドウの木の樹齢などを踏まえて決められます。全て手摘みで収穫され、その中でも状態の良いブドウだけが選び出されます。

圧搾は最先端の圧搾機を使用し、最初に絞られた果汁は"キュヴェ"と呼ばれメゾンの最高品質のシャンパーニュとなります。畑の区画ごとに発酵、熟成し、厳しいテイスティングを経てブレンドが施されますが、この時のブレンド比率は細かな設定がその品質に合わせてなされているのです。

瓶での熟成は、温度管理のなされたセラーで、ノン・ヴィンテージだと5年ほど、ヴィンテージだと10年は寝かされることになります。

動瓶は伝統的な手法で行われ、機械化はされていません。木のラックに寝かされたボトルを手動で動かして、少しずつ滓を瓶の口までもっていき、滓引きをします。最後の工程は補糖;ドサージュです。ブリュット・ワインを造るには1リットル当たり12g以下の添加で、完璧なバランスのシャンパーニュとなります。

生産量は年間12万本。しかし、生産されるシャンパーニュの70%は昔からの顧客へ販売されるため、輸出はおろか、フランス国内のレストランで味わうこともなかなか難しいと言われています。

J・ラサールのシャンパーニュ達


キュヴェ・プレフェランス

このメゾンのスピリットを表す一本です。ミネラル感が豊富で、アプリコットや桃のアロマ、甘草やフェンネルのニュアンスも感じます。まろやかで余韻の長いシャンパーニュ。

ロゼ

熟した良質のピノ・ノワールが持つ独特の甘草の香りが最初に現れます。そしてイチゴやチェリーといった赤い果実のニュアンス。

キュヴェ・ブラン・ド・ブラン

シャルドネから生み出される香り高い一本。白桃やリンゴ、といった白いフルーツのアロマで、まろやかでスムースな飲み心地です。

アンジェリーヌ・ブリュット

最初のヴィンテージは娘アンジェリーヌが誕生した1973年。淡い黄金色の外観に爽やかで甘草のアロマ、ハーブ香も感じます。空気に触れるとよりフルーティーでナッティーな印象に。

スペシャル・クラブ

高品質のシャンパーニュを追求するRMの生産者の組織《クラブ・トレゾール・シャンパーニュ》では、優れたヴィンテージ・シャンパーニュの厳しい基準をクリアしたものだけに、この名を名乗って販売することを許可しています。フレッシュで華やかな香り。アプリコットやドライフルーツのアロマが豊かな味わいへとつながります。ミネラル分も感じられ、甘い香りは次第に香ばしいモカの香りへと移ります。食事にピッタリのシャンパーニュ。